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チーズマカロニ(英国・Raffald 1769) 時期 B起源説 B検証済
確度は2軸: 時期=成立時期の固さ/起源説=発祥譚(説)の固さ(A〜Dの4段階・別々に持つ)。確度とは?→
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マカロニとチーズを合わせる料理の、英語で最初のレシピはハンナ・グラースの1747年の料理書にある——広く出回るこの話は、グラースの本の中身と合わない。その本にはマカロニもパルメザンも出てこず、英語の料理書での初出として食物史家が挙げるのは、約20年後のエリザベス・ラファルドの1769年の一篇である。
3ゲート
- 食材入手ゲート
- マカロニ(乾燥パスタ)とパルメザンはイタリアからの輸入品。1747年の Glasse の料理書には両方とも出てこず、1769年の Raffald で現れる。英国でこの2つが手に入るようになった年は台帳に無く、未確定
- 調理技術ゲート
- 茹でたマカロニを鍋でクリームと小麦粉をまぶしたバターと5分煮て皿に盛り、上一面にパルメザンをのせて焼き色を付ける(Raffald 1769 の原文)。オーブンでは焼かず、チーズはソースに溶かさない。とろみは小麦粉をまぶしたバターをクリームに溶かして付けるもので、粉を先にバターで炒めて牛乳で伸ばすベシャメルとは作り方が違う(食物史家 Neil Buttery は『ベシャメルの前身』と評する)。この小麦粉をまぶしたバターでとろみを付ける手法は、1747年の Hannah Glasse の料理書で百回を超えて使われる英国の常用技法で、成立を遅らせた形跡はない
- 場ゲート
- 英国の家政書(中産家庭向け)。Elizabeth Raffald The Experienced English Housekeeper 1769
成立年代と成立ゲート
主役食材は在来で、到来による制約がない。下限の縦線は無く、帯は成立年代を示す。
検証メモ: 18世紀イングランドで料理書に載ったマカロニとチーズの料理。Raffald(1769年)の原文は、茹でたマカロニをクリームと小麦粉をまぶしたバターで5分煮て皿に盛り、上一面にパルメザンをのせて焼き色を付けるもので、オーブンでは焼かず、チーズもソースには溶かさない。ベシャメルのチーズソースで和えて焼く料理と紹介されることがあるが、原文にその形は無い。中世の makerouns とアメリカのマカロニアンドチーズのあいだを縦にたどるための区分として置いており、一覧には表示しない。
起源説
定説
★主 英語の料理書での初出=Raffald 1769説 B
英語の料理書でマカロニをチーズと合わせる料理が最初に載るのは、Elizabeth Raffald『The Experienced English Housekeeper』(1769年 Manchester 初版 p.261)の『To dress Macaron…続きを読む
英語の料理書でマカロニをチーズと合わせる料理が最初に載るのは、Elizabeth Raffald『The Experienced English Housekeeper』(1769年 Manchester 初版 p.261)の『To dress Macaroni with Permasent Cheese』だとする説(食物史家 Neil Buttery、ケンブリッジのフィッツウィリアム美術館の食物史プロジェクト)。原文は、マカロニ4オンスを柔らかく茹でて水を切り、鍋でクリーム約1ジルと小麦粉をまぶしたバターひとかたまりと5分煮て皿に盛り、上一面にパルメザンをのせて焼き色を付け、冷めやすいので湯で温めた皿で供する、というもの。オーブンでは焼かず、チーズはソースに溶かさず上にのせる。ベシャメルのチーズソース(チェダーのモルネーソース)で和えて焼く料理と紹介されることがあるが、原文にその形は無い。Buttery はこのソースを『ベシャメルの前身』と評するが、粉を先にバターで炒めて牛乳で伸ばすベシャメルとは作り方が違う。1747年の Hannah Glasse 初版には、マカロニもパルメザンも出てこない。
- 支持 Elizabeth Raffald, The Experienced English Housekeeper (Manchester: J. Harrop for the author, 1769 初版) p.261 — Internet Archive b30522134 重み5
- 支持 Eating Italian before Elizabeth David (Feast & Fast, Fitzwilliam Museum Cambridge) — Glasse 1747 は『Vermicella(ヴァーミセリ)』のレシピ、マカロニチーズではない 重み3
- 支持 Macaroni Cheese — British Food: A History (Neil Buttery, 食物史家) Raffald 1769 一次レシピ全文+Forme of Cury 1390 への系譜、Glasse のマカロニチーズには言及せず 重み2
- 言及 Macaroni and cheese — Wikipedia 重み1
反証
「最初の文書レシピはGlasse 1747」説(誤った帰属で史料が支えない) B
俗説: 英語で最初に文書化されたマカロニ&チーズは Hannah Glasse『The Art of Cookery Made Plain and Easy』(1747)で Raffald(1769)より約20年早い、とする説がレシピブログ等に流布する。だがこ…続きを読む
俗説: 英語で最初に文書化されたマカロニ&チーズは Hannah Glasse『The Art of Cookery Made Plain and Easy』(1747)で Raffald(1769)より約20年早い、とする説がレシピブログ等に流布する。だがこれは史料が支えない。Glasse 1747 初版の全文(Internet Archive 収録の初版原本)にはマカロニもパルメザンも出てこず、載っているのは『Vermicella(ヴァーミセリ=細麺パスタを自家製にする作り方)』とそれを使うプディングやスープである。ケンブリッジのフィッツウィリアム美術館の食物史プロジェクト Feast & Fast も、Glasse 1747 にあるのはヴァーミセリのレシピだと指摘する。英語の料理書でマカロニをチーズと合わせる料理が最初に載るのは、Raffald『The Experienced English Housekeeper』(1769)の『To dress Macaroni with Permasent Cheese』(茹でたマカロニをクリームと小麦粉をまぶしたバターで煮て皿に盛り、上にパルメザンをのせて焼き色を付ける)とされる。Wikipedia のマカロニ&チーズ記事も食物史家 Neil Buttery も Glasse のマカロニチーズには言及せず、Raffald 1769 を最初に挙げる。したがって『Glasse 1747 が最初の文書レシピ』は Glasse のヴァーミセリ項とマカロニチーズを取り違えた誤った帰属で、成り立たない。
- 反証 Hannah Glasse『The art of cookery, made plain and easy』初版 (London: printed for the author, and sold at Mrs. Ashburn's, a china shop, the corner of Fleet-Ditch, 1747)(Internet Archive 全文OCR・アイテムID: bim_eighteenth-century_the-art-of-cookery-made_glasse-hannah_1747) 重み5
- 反証 Eating Italian before Elizabeth David (Feast & Fast, Fitzwilliam Museum Cambridge) — Glasse 1747 は『Vermicella(ヴァーミセリ)』のレシピ、マカロニチーズではない 重み3
- 言及 Macaroni and cheese — Wikipedia 重み1
解説
チーズマカロニは、茹でたマカロニをクリームと、小麦粉をまぶしたバターとで煮て皿に盛り、上にパルメザンチーズをのせて焼き色を付ける一皿である。18世紀後半のイングランドで、中産階級の家庭に向けた家政書の中にその姿が現れる。遅くとも1769年には成立していたが、それより前にいつ成立したかは分かっていない。
主役のマカロニ(乾燥パスタ)とパルメザンは、どちらもイタリアから運ばれてくる輸入品だった。1747年に出たハンナ・グラースの料理書『The Art of Cookery Made Plain and Easy』には、そのどちらも出てこない。
この一皿を書き留めたのが、エリザベス・ラファルドの家政書『The Experienced English Housekeeper』(1769年、マンチェスター刊)に載る「To dress Macaroni with Permasent Cheese」である。マカロニ4オンスを柔らかく茹でて水を切り、鍋でクリーム約1ジルと、小麦粉をまぶしたバターひとかたまりと5分ほど煮る。それを皿に盛り、上一面をパルメザンで覆う。チーズには焼き色を付けるが、原文の言い方は「Permasent Cheese toasted」で、先に焼いてからのせるのか、のせてから焼き色を付けるのかまでは書き分けていない。冷めやすいので、湯を入れて温めた皿にのせて食卓へ出す。オーブンには入れず、チーズもソースに溶かさずに上にのせる料理だった。
小麦粉をまぶしたバターでとろみを付けるやり方は、当時の英国の料理書ではごく普通のものだった。グラースの1747年の料理書にも百回を超えて出てくる。粉を先にバターで炒めてから牛乳で伸ばすベシャメルとは、作り方が違う。
検証ストーリー
英語で最初に文書化されたマカロニとチーズの料理は、ハンナ・グラースの『The Art of Cookery Made Plain and Easy』(1747年)に載っていて、エリザベス・ラファルドの1769年のレシピより20年ほど早い——こうした話が、レシピを紹介するブログなどで広く語られてきた。
ところがグラースの1747年の初版を最初から最後まで開いても、マカロニもパルメザンも出てこない。載っているのは「Vermicella(ヴァーミセリ)」、つまり細麺のパスタを家で作る方法と、それを使うプディングやスープである。ケンブリッジのフィッツウィリアム美術館による食物史プロジェクト Feast & Fast も、グラースのこの項をヴァーミセリのレシピとして読んでいる。「グラースが最初」という話は、このヴァーミセリの項をマカロニとチーズの料理と取り違えたところから生まれたものだった。
英語の料理書でマカロニとチーズを合わせた料理として、食物史家ニール・バタリーやこの美術館のプロジェクトが最初に挙げるのは、ラファルドの1769年の一篇である。このレシピは、ベシャメル風のチーズソースで和えてオーブンで焼く料理として紹介されることがある。だが原文には、チーズをソースに溶かし込む工程も、オーブンで焼く工程も無い。バタリーはこのレシピを、現代のマカロニチーズの要素をすべて備えるものと評し、そのソースを「ベシャメルの前身」と呼んでいる。
さらにさかのぼれば、1390年にリチャード2世の料理人たちがまとめた英王室の料理書『The Forme of Cury』に、薄く延ばして切った生地を茹で、チーズとバターと重ねる makerouns がある。バタリーも、ラファルドの一皿をこの中世の料理からたどっている。その先、アメリカの家庭に根づいたマカロニアンドチーズについては、こうした英国のチーズパスタの流れを汲むとみる説がある一方、独立した一皿として形を整えたのは米国の食卓だとみる説もあり、どちらに起源を置くかは定まっていない。
検証ログ 追記専用の監査証跡
| 日付 | 結果 | 確度 | 主張 / 出典 | 更新者 |
|---|---|---|---|---|
| 2026-06-27 | 支持 | C→C |
🚫 この記述は後の検証で訂正された(→ 該当行へ) 現行(ベシャメル系)チーズマカロニの最初の現行形は Raffald 1769(マカロニ+ベシャメル+パルメザン焼成) 出典:
Macaroni and cheese — Wikipedia 重み1
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運営 |
| 2026-06-27 | 支持 | C→C |
英語で最初に文書化されたマカロニ&チーズは Hannah Glasse 1747で Raffald より約20年早い
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運営 |
| 2026-06-29 | 反証 | C→C |
俗説『英語で最初の文書マカロニ&チーズは Glasse 1747』は誤帰属。Glasse 1747 が載せるのは Vermicella(細麺パスタ自家製)で、チーズ和え焼成マカロニではない(Glasse 1747 一次史料+Cambridge Fitzwilliam Feast&Fast)。
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研磨係 |
| 2026-06-29 | 支持 | C→C |
🚫 この記述は後の検証で訂正された(→ 該当行へ) 英語圏で現行形(マカロニ+プロト・ベシャメル=クリーム+バター+小麦粉+パルメザン焼成)マカロニチーズの初出文書は Raffald『The Experienced English Housekeeper』1769『To dress Macaroni with Permasent Cheese』。食物史家 Neil Buttery も『現代マカロニチーズの全要素を備える』と評価。
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研磨係 |
| 2026-06-29 | 支持 | C→B | 研磨係 | |
| 2026-07-18 | 支持 | —→— |
🚫 この記述は後の検証で訂正された(→ 該当行へ) Raffald1769は現行ベシャメル形が文献化した点(=上限)。ベシャメル技法確立(18世紀初頭≒1700)を律速ゲート下限として下限側を開く(#636類型2)。非ベシャメルの古層は前史#223として別持ち |
研磨係 |
| 2026-10-02 | 反証 | B→B |
Raffald『The Experienced English Housekeeper』(1769)のマカロニは、ベシャメル系のチーズソースで和えてオーブンで焼く料理である
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研磨係 |
| 2026-10-02 | 反証 | B→B |
この料理の成立の下限は、ベシャメル技法が確立した18世紀初頭(1700年)に置ける
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研磨係 |
| 2026-10-02 | 不明 | B→B |
この料理の成立を縛ったのは食材入手(輸入品のマカロニとパルメザンが英国で手に入るようになったこと)である
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研磨係 |
構成素材
この料理を構成する素材の成立史へ。「成立史は準備中」の素材はまだページがありません。