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マケロウンス(Forme of Cury 1390) 時期 B起源説 C検証済
確度は2軸: 時期=成立時期の固さ/起源説=発祥譚(説)の固さ(A〜Dの4段階・別々に持つ)。確度とは?→
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1390年頃のイングランド王室の料理書に、makerouns の名で知られるチーズパスタが書きとめられている。名は「マカロニ」を思わせるが、作り方は薄い生地を切って茹で、チーズとバターを重ねるもので、同じ巻物に載る loseyns と並ぶ、英語で書かれた最古級のチーズパスタ料理の一つである。
検証ハイライト 俗説 → 判定 → 根拠
- 主な説
- 1390年頃にリチャード2世の料理人たちがまとめた英王室料理書 The Forme of Cury に載る 'makerouns'(Pegge …
- 判定
- 諸説あり(対立説を併記)
- 主な根拠
- 反証The Forme of Cury (c.1390, リチャード2世の料理人による英国料理書; Samuel Pegge ed. 1780 / Project Gutenberg 全文) — 『raysouns of Coraunce』『grete raysons』が多数のレシピに常用材料として現れる重み5 支持Maestro Martino『Libro de arte coquinaria』(15世紀)— Thomas Gloning(Marburg 大学)公開の翻刻を Candida Martinelli が PDF 化したもの(italophiles.com・275頁)重み5
3ゲート
- 食材入手ゲート
- 小麦のパスタ生地とチーズは旧大陸在来。律速食材なし(暫定)
- 調理技術ゲート
- 生地を茹で(切り)バター・摺りおろしチーズを重ねる中世調理。生地とチーズとバターを重ねるだけの素朴な層仕立て
- 場ゲート
- 中世英王室の料理書 The Forme of Cury(1390, リチャード2世の料理人)。宮廷
成立年代と成立ゲート
主役食材の到来データが未登録(不明)のため、到来による下限(縦線)は表示していない。帯は成立年代を示す。
検証メモ: マカロニ&チーズの中世イングランドの古層(1390年の makerouns)で、パスタとチーズを合わせた料理形のイングランド最古層にあたる。年代・場の要素は個別の研磨で確認した。マカロニ&チーズのファミリーを縦にたどるための区分として置いており、一覧には表示しない。
起源説
諸説併記
英最古級のチーズパスタ=makerouns説(Forme of Cury 1390・同じ巻物の loseyns と並ぶ) B
1390年頃にリチャード2世の料理人たちがまとめた英王室料理書 The Forme of Cury に載る 'makerouns'(Pegge 1780年版の見出しは Macrows)。薄く延ばした生地を切って茹で、摺りおろしたチーズとバターを上下に重ねる。作…続きを読む
1390年頃にリチャード2世の料理人たちがまとめた英王室料理書 The Forme of Cury に載る 'makerouns'(Pegge 1780年版の見出しは Macrows)。薄く延ばした生地を切って茹で、摺りおろしたチーズとバターを上下に重ねる。作り方は『as losyns(losyns のように)』と同じ巻物の loseyns を手本として引く。loseyns は、紙のように薄く延べて茹でた生地と摺りおろしたチーズを二、三度重ねる料理で、巻物ではこちらが先に置かれている。2品は同じ巻物に並ぶので、どちらが先にできたかは本文からは言えない。makerouns は loseyns と並ぶ、英語で書かれた最古級のチーズパスタ料理の一つとして紹介されてきた。生地とチーズとバターを重ねるだけの素朴な層仕立てで、後の英国のチーズマカロニ(Raffald 1769・茹でたマカロニをクリームで煮て上にパルメザンをのせる)の古い層に位置づけられる。
- 支持 The Forme of Cury (c.1390, リチャード2世の料理人による英国料理書; Samuel Pegge ed. 1780 / Project Gutenberg 全文) — 『raysouns of Coraunce』『grete raysons』が多数のレシピに常用材料として現れる 重み5
- 支持 The 14th Century Origins Of Macaroni And Cheese (Tasting Table) 重み2
- 言及 Macaroni and cheese — Wikipedia 重み1
- 支持 The Forme of Cury (1390, Richard II's cooks) — 'makerouns' 一次史料 (Middle English text) 重み1
伊 de lasanis 先行説(makerounsは英独自起源でない) B
makerouns は英独自の発明でなく、14世紀初頭の南伊 Liber de coquina(de lasanis)に遡る欧州中世チーズパスタ料理形が宮廷写本の流通を介して英に伝わった現れとみる立場。Forme of Cury 自体が Liber de coquina など大陸料理書の影響下にある。makerouns の名は『マカロニ』を思わせるが、巻物の本文は薄い生地を切って茹でるとだけ書き、実体は切り生地のチーズパスタである(名称と実体のずれ)。中に穴をあけた maccherone の作り方は、15世紀の Maestro Martino の料理書に載る。
- 言及 Liber de coquina ubi diuersitates ciborum docentur (saec. XIV) III-10『de lasanis』— Mulon 1971 校訂(Deux traités inédits d'art culinaire médiéval, pp.396-420)に基づく Thomas Gloning 電子版(Univ. Gießen, 2002) 重み5
- 言及 Maestro Martino『Libro de arte coquinaria』(15世紀)— Thomas Gloning(Marburg 大学)公開の翻刻を Candida Martinelli が PDF 化したもの(italophiles.com・275頁) 重み5
- 支持 Marianne Mulon, « Deux traités inédits d'art culinaire médiéval » (Liber de coquina 校訂版), Bulletin philologique et historique 1968, 1, pp.369-435 重み4
- 支持 macaroni — Etymonline(Online Etymology Dictionary) 重み3
- 言及 maccherone — Vocabolario Treccani(Istituto della Enciclopedia Italiana・オンライン版) 重み3
- 支持 The 14th Century Origins Of Macaroni And Cheese (Tasting Table) 重み2
- 言及 Macaroni and cheese — Wikipedia 重み1
- 言及 Liber de Coquina — Wikipedia(写本2点は14世紀初頭・ナポリ周辺の著者とするが、'de lasanis' を含む個別レシピには本文で言及しない) 重み1
解説
1390年頃、リチャード2世の料理人たちが英王室の料理書『The Forme of Cury』をまとめた。この巻物に、makerouns の名で知られる一皿が書きとめられている。作り方はこうだ。生地を薄く延ばして切り分け、煮立った湯でよく茹でる。チーズを摺りおろし、バターとともに下と上に置いて、losyns のように仕立てる。1780年にサミュエル・ペッグが刊行した翻刻では、この項の見出しは Macrows で、本文は『Take and make a thynne foyle of dowh. and kerve it on peces, and cast hem on boillyng water & seeþ it wele. take chese and grate it and butter cast bynethen and above as losyns. and serue forth.』と綴られている。
手本に引かれた loseyns も、同じ巻物に載るチーズパスタである。粉を水で練って紙のように薄く延べ、乾かしてから出汁で茹で、摺りおろしたチーズと皿の上で二度三度と重ねていく。巻物では loseyns の項が先に置かれ、makerouns の作り方はそれを手本に引いている。ただ、二品は同じ巻物に並んで書きとめられているので、どちらが先に生まれたかまでは本文から言えない。
小麦の生地も、摺りおろせるチーズも、旧大陸の台所に古くから根づいた素材で、中世の宮廷の厨房には早くから揃っていた。料理人たちはその生地を切って茹で、摺りおろしたチーズとバターを上下に置いて重ねた。皿に載るのは生地とチーズとバターだけの、素朴な層仕立てである。
料理が生まれた場は宮廷である。書きとめたのは国王の厨房であり、大陸の料理書の影響を受けながら編まれた写本だった。のちの英国には、エリザベス・ラファルドが1769年に記したチーズマカロニ(茹でたマカロニをクリームで煮て、上にパルメザンをのせる一皿)が現れる。makerouns は、その一皿へとつながる流れの古い層にあたる。
検証ストーリー
makerouns という呼び名は『マカロニ』を思わせる。けれども巻物の本文は、薄い生地を切って茹でるとだけ書き、穴のあいた管の形には触れていない。14世紀後半の中英語で macrouns と呼ばれたのも、麺をバターとチーズと重ねた料理だった。名前は管状の麺を思わせても、皿の上にあるのは薄く延ばして切った生地のチーズパスタである。
穴のあいたマカロニの作り方は、15世紀のマエストロ・マルティーノの料理書『Libro de arte coquinaria』に見える。麦わらほどに細く延ばした生地に鉄線を当て、台の上で両手で転がしてから鉄線を抜くと、中に穴の通った maccherone ができる。この項の題は maccaroni siciliani(シチリアのマカロニ)である。同じ料理書の maccaroni romaneschi(ローマのマカロニ)は、棒に巻いた生地を小指の幅に切った帯状のもので、15世紀になっても maccaroni の名は穴のあいた形に限られていなかった。
語そのものの由来もはっきりしない。maccheroni を「砕く」を意味する maccare に結びつける説、大麦の食べ物を指す後期ギリシャ語 makaria に求める説、ギリシャ語の μάκαρ(幸いなる)に求める説があり、古いイタリア語には団子(gnocco)をこの名で呼んだ用例も残る。
makerouns をイングランド独自の発明と言い切るのも早い。14世紀初頭、ナポリのアンジュー宮廷で写された料理書『Liber de coquina』には de lasanis という料理があり、発酵させた生地を薄く延べて正方形に切り、塩湯で茹でて、摺りおろしたチーズと層に重ねていた。年代はおよそ1304年から1314年で、英王室の巻物 Forme of Cury よりおよそ80年早い。その Forme of Cury 自体も、Liber de coquina をはじめとする大陸の料理書の影響を受けて編まれている。
巻物の本文が書くのは、切った生地をチーズとバターで重ね、loseyns を手本に仕立てる一皿である。それに先立つ大陸の写本の de lasanis と並べると、makerouns はイングランドで一から生まれた料理というより、大陸で先に書きとめられたチーズパスタの流れに連なる一皿に見えてくる。
検証ログ 追記専用の監査証跡
| 日付 | 結果 | 確度 | 主張 / 出典 | 更新者 |
|---|---|---|---|---|
| 2026-06-27 | 支持 | C→C |
🚫 この記述は後の検証で訂正された(→ 該当行へ) 英語圏現存最古のチーズパスタは Forme of Cury(1390)の makerouns(切り生地+チーズ+バターの層仕立て)
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運営 |
| 2026-06-27 | 支持 | C→C |
makerouns は英独自起源でなく伊 Liber de coquina(de lasanis)に遡る欧州中世チーズパスタの英での現れ
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運営 |
| 2026-06-29 | 支持 | B→B |
Liber de coquina(de lasanis)の年代と帰属を精密化: ca.1304-1314, ナポリ/アンジュー宮廷写本。Forme of Cury(1390)より約80年先行。パスタ角切り+摺りおろしチーズの層仕立てが大陸先行形として確認
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研磨係 |
| 2026-06-29 | 支持 | B→B |
🚫 この記述は後の検証で訂正された(→ 該当行へ) 名称と実体のずれを語源で裏付け: 中世の'makerouns'/macaroni は管状乾麺ではない。管状パスタの発明は15世紀(Maestro Martino)。makerouns はvermicelli様/切り生地。語 maccheroni は元来 gnocchi(つぶし生地団子)を指した(語源 maccare=砕く)
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研磨係 |
| 2026-06-29 | 支持 | B→B |
🚫 この記述は後の検証で訂正された(→ 該当行へ) Forme of Cury(1390)の makerouns 原文を一次史料で再確認: 'Take and make a thynne foyle of dowh and kerve it on pieces, and cast hem on boiling water & seeþ it well. take cheese and grate it and butter cast bynethen and above as losyns.' 英語圏現存最古のチーズ+パスタ料理として複数独立出典が一致
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研磨係 |
| 2026-07-18 | 支持 | —→— |
Forme of Cury 1390 は英での文献初出=存在下限証拠(初出年=上限)であって発祥年ではない。伝播祖型 de lasanis(ca.1304-1314・#224)より派生する英の切り生地チーズパスタは祖型以降にしか現れ得ず、下限は祖型の年代(ca.1304)で決まる(#636類型3の『floor決定』枝) |
研磨係 |
| 2026-08-10 | 不明 | B→B |
s#633(Liber de Coquina のWikipedia記事)は de lasanis にも英への伝播にも触れない=『makerounsは英独自起源でない』説の支持根拠にならない
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研磨係 |
| 2026-10-02 | 反証 | B→B |
makerouns 1品だけを『英語圏で現存最古のチーズパスタ料理』とする言い方は、同じ The Forme of Cury(1390年頃)の本文で成り立たない。同じ巻物の loseyns の項も、紙のように薄く延べて茹でた生地と摺りおろしたチーズを二、三度重ねる料理で、巻物の並びでは loseyns(第49項)が makerouns(この版の見出しは Macrows・第92項)より前に置かれ、makerouns の作り方は『as losyns(losyns のように)』と loseyns を手本として引く。2品は同じ巻物に載るので、並びの先後は成立年の先後を示さない。言えるのは『同じ巻物の loseyns と並ぶ、英語で書かれた最古級のチーズパスタ料理の一つ』まで
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研磨係 |
| 2026-10-02 | 支持 | B→B |
makerouns は The Forme of Cury(1390年頃)に実在する項で(Pegge 1780年版の見出しは Macrows)、薄い生地を切って湯で茹で、摺りおろしたチーズとバターを上下に置き、『as losyns』と同じ巻物の loseyns を手本に引く。起源説を改めた言い方(同じ巻物の loseyns と並ぶ最古級の一つ)は巻物の本文に合う
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研磨係 |
| 2026-10-02 | 支持 | B→B |
中に穴をあけた maccherone の作り方は、15世紀の Maestro Martino の料理書に載る(ごく細い棒状の生地に鉄線を当てて転がし、鉄線を抜く)。同じ書の maccaroni romaneschi は棒に巻いた生地を小指幅に切った帯状で、15世紀にも maccaroni の名は穴のあいた形に限らない。1390年頃の makerouns の本文は「薄い生地を切る」とだけ書き、穴のあいた形を示さない。管状のパスタがいつ生まれたかは、この料理書からは言えない
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研磨係 |
| 2026-10-02 | 反証 | B→B |
語 maccheroni はもともと gnocchi(つぶした生地の団子)を指した言葉で、語源は maccare(砕く)である
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研磨係 |
| 2026-10-02 | 反証 | B→B |
1390年頃の makerouns の生地は vermicelli(細い麺)に近い
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研磨係 |
| 2026-10-02 | 支持 | B→B |
makerouns の名は「マカロニ」を思わせるが、1390年頃の巻物の本文は薄い生地を切って茹でるとだけ書き、穴のあいた管状の形を示さない。Etymonline も中英語の macrouns(14世紀後半)を、麺をバターとチーズと重ねた料理とする。語 maccheroni の語源は確かでなく、Etymonline は maccare(砕く)を「possibly」とし、後期ギリシャ語 makaria(大麦の食べ物)を別案に並べる
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研磨係 |
構成素材
この料理を構成する素材の成立史へ。「成立史は準備中」の素材はまだページがありません。
- 素材チーズ
- 素材パスタ成立史は準備中